【38】千葉雅也「動きすぎてはいけない」ゼミ 第4回 2024年6月15日 大谷隆 ## 範囲 序ーー切断論 0-3 接続的/切断的ドゥルーズ 34ページ、5行目まで ## 切断A、接続、切断B 千葉さんが、 > 本稿の第一の課題は、ドゥルーズ(&ガタリ)の生成変化論において、非意味的切断を改めて重視することである。これは、従来の解釈においては十分に行われてこなかった。なぜか?[31-32] という、「非意味的切断」を、もう一つの切断と、接続という3点で、再度整理しておく。28ページあたり。 ### 切断A > まず、切断Aーー権力の強いしがらみからあなたを切断すること、それと正面から闘わないこと。 > 切断Aは、ツリーからリゾーム**への**切断であり、 ### 接続 > そして、接続ーーしがらみの側方に、勝手に接続されていく関係のリゾームを見出す。 ### 切断B > のみならずさらに、切断Bーーそのリゾームをあちこちで切断すること。リゾームを「有限」にすること、様々に部分的な「無関心」ーーこれが「意味を持ちすぎない」ことだろうーーの刃によって。 > 切断Bは、リゾーム**それ自体の**切断であると言える。切断Aをするならば、切断Bも必須である。 この切断Bが、非意味的切断、ということだろう。従来のドゥルーズ解釈は、「切断Aと接続」を重視しすぎて、切断Bの解釈が十分ではなかった。 どういうことか? ## ドゥルーズを取り合う者たち ここで、複数の登場人物が出てくる。その者たちが何をやっているかを登場人物たちの相関関係で読んでみようと思う。そもそも、ここはまだ「序」であり、今読んでいるのは、予告編のようなものだろう。予告編を観ながら、本編はきっとこんな展開ではなかろうかと妄想してみる。 まず、主要な登場人物に、当然、ドゥルーズがいる。ただ、ややこしいことに「ドゥルーズ&ガタリ」と二人セットで出てくる場合もある。一人の時と二人のときで若干扱いが異なっている。 ### ネグリ&ハート ドゥルーズ(&ガタリ)の周囲に現れるのがまず、アントニオ・ネグリ&マイケル・ハート。これも二人だが、ここではセットでしか現れていない。 ネグリ&ハートの主張は、簡単に言えば、たぶんこうなる。 みんな!「帝国(国を超えたグローバルな勢力)」という権力の強いしがらみから切断Aして、一人ひとりになろうぜ。そうしたら全世界の多種多様な一人ひとり(マルチチュード)で連帯できるんだ(接続)。これを教えてくれたのはドゥルーズだ。ドゥルーズは素晴らしい。私はドゥルーズのことを、よくわかってるんだ。 ### ジジェク このネグリ&ハートのドゥルーズの連れ込みに待ったをかけるのが、スラヴォイ・ジジェク。 ネグリ&ハートよ。ドゥルーズをわかってるとか言うけど、お前は「みんな個人個人として国家権力を転覆して繋がり合おう」っていうだけだ。そんなのドゥルーズ以前から過激な左翼は言ってただろう。それを都合よくドゥルーズを引き合いに出して、「ドゥルーズは、そういう繋がり合いが「自発的に」「勝手に」起こるんだよ」と言ってくれてるってことにしてるだけだ。本当のドゥルーズはそんなことは言ってない。本当のドゥルーズは「マゾヒズム」を書いていた「単独の」ドゥルーズで、つまり、ドゥルーズは「我慢(マゾヒズム)も必要だ」って言ってるんだ。お前が引き合いに出してる楽観的な側面は、ドゥルーズ&ガタリのことで、つまり、ガタリにたぶらかされて、ガタリ化したドゥルーズだ。お前は真のドゥルーズをわかってない。 ### 千葉雅也 このドゥルーズを巡る三角関係(ガタリも入れれば四角?)に参戦するのが我らが千葉さん。 ネグリ&ハートよ。ジジェクの言う通りだ。お前は、ドゥルーズの切断Aと接続しかしらない。 ところで、ジジェクよ。お前の言うように、確かに、楽観的なドゥルーズという側面は、ガタリ化したドゥルーズかもしれない。しかし、たとえそうであったとしても、本当のドゥルーズが「我慢も必要だ」はないだろう。ジジェクよ、お前は、切断Aと接続によって生じる状態を「接続過剰」としか捉えていない。「過剰」は避けるべきだから「我慢しろ」とか言い出してるだけだ。つまりジジェクよ、お前もネグリ&ハートと同様に、もう一つのドゥルーズを見逃しているだけだ。それが、切断Bだ。切断Bで、接続過剰は「過剰」ではなくなるんだ。切断Bがあるから、接続**し過ぎない**んだ。接続しても切断Bできるのだから過剰は防げる。我慢するべきとかいう話じゃない。私こそドゥルーズをわかってる。 こういうことだろうか? 誤読も甚だしいのかもしれないが、難しいところほど面白く読みたい。 ちなみにドゥルーズはとても人気があるみたいだけど、ガタリはいまいちなのかな。 以上 追伸:試みとして、このレジュメをchatgpt-4oに読ませて、続きを書いてもらった(非公開)。ゼミ当日に会場閲覧のみ可能とする。 Share: